インドの売春街の子供たちを想う(その4)

モリンガ社会事業に着手

ムンバイ市と同じマハラシュートラ州内のデカン高原にあるパトダ地区に6ヘクタール(245m四方に相当)の農地を借り、2011年7月に3000本相当のモリンガの種子を植えました。モリンガの木の成長は早く、今年2月に訪問した時には最も高いもので3mに達していました。成長すれば10m程になります。灌漑の水がまだ不十分で生育にバラツキが見られますが、総じて順調に育っています。

日常の管理はインドのパートナーであるシュリクシャナ・エンタープライズの人々(土地所有者兼農民)がおこなっています。スタートにあたって初期投資が必要であったことから、我々は農園に対する資金援助もおこなっています。今年の秋には鞘(ドラム・スティック)の収穫が迎えられそうで、僅かながら事業からの収入が期待できそうです。当初は食材として地場のマーケットで販売、またムンバイ市の幼稚園やその家族に無償で配布し給食などに使い、子供達の栄養不足の補給をしてあげようと考えています。将来的にはモリンガ製品(モリンガ茶、粉末、サプリメント、石鹸、ベンオイルなど)を現地生産・販売を行い社会問題解決型のソーシャル・ビジネスに発展させたいと考えています。

モリンガの木はもともとインドが原産地で、熱帯・亜熱帯地方の植物です。約90種類の栄養素を含み、約300種類の薬効を持つといわれています。二酸化炭素の吸収や水の浄化作用にも優れた植物です。

栄養価はビタミンAが人参の4倍、ビタミンB が豚肉の4倍、鉄分がホウレン草の31倍、カルシウムが牛乳の20倍、食物繊維がごぼうの5倍、アミノ酸が黒酢の2倍、などビタミン、たんぱく質、ミネラル、アミノ酸、食物繊維、ポリフェノール、ギヤバなどを豊富に含みます。高機能性バランス栄養食材として、現在地球上で発見されている単体の植物で、モリンガほど優れている植物はないとさえ言われています。葉、花、実、種、茎、根の全てが利用可能で、棄てるところがありません。

「アユルベーダ(生命の科学)」にもモリンガ・ハーブを使った医学・生理学療法が記述されています。

2007年には国連が世界食料計画の中で、発展途上国の栄養失調対策としてモリンガの普及を奨励しています。このように優れ物であることから、世界中の研究機関、大学、企業が研究開発に力を入れ、今後の健康、美容、代替医療、環境事業に貢献できるものとして評価が高まっています。

最近では日本でも沖縄と熊本の天草で小規模の生産が行われ、お茶、粉末、サプリメント、石鹸、などの加工製品が通信販売で売られています。原産国のインドでは、鞘を切ってカレーの具に使っているのをよく見かけます。ただ歴史が古い割には、殆ど利用されていません。モリンガに関する知識も普及していないことを感じました。