インドの売春街の子供たちを想う(その3)

インド・ムンバイのNGO AAWC

NPO法人インドに幼稚園を作る会は、インドのムンバイ市カマティプラ地区でこのような売春婦を母親に持つ子供達に、初等教育を受けさせるために幼稚園を作り、現地NGOのAAWCと協力して運営しています。親から受け継がれる無知と貧困の連鎖を断ち切るため、教育が最も大切であるとの思いで活動しています。活動は任意団体の頃から足掛け12年になります。当初から幼稚園に対する資金援助(原資は会員の会費、寄付金、会社や団体の助成金など、資金使途は教材費、給食代、AAWCの先生やスタッフの給与の一部を援助)を続けてきました。3年前には奨学金制度を導入し、子供達への支援を拡充してきました。

現在、ムンバイ市のカマティプラ地区に幼稚園を2か所設け、52名の園児を預かっています。AAWCは先生やスタッフを増員し、幼稚園の制服を導入、給食設備等も増強しています。 またAAWCの英語版のホームページを作り、パンフレットも新しく作成するなど内容を充実させてきています。

幼稚園に通ってくる子供達はとても明るく、我々が訪ねると「ナマステ」と元気よい挨拶をして近寄ってきます。悲惨な家庭環境にも拘わらず、いかにも子供らしいところに好感を持てます。

この子供達も夕刻になるとあの劣悪な環境下にある売春宿(子供達の家庭)に帰っていきます。家に帰っても母親は仕事で、子供達はほったらかしにされます。また客の中には素行の良くない者もいて罵声や怒号が飛び交う事もしばしばで、とても子供達が安心して暮らせるような場所ではないのです。AAWCの責任者は、早くナイト・シェルター(夜の避難宿泊所)を作り、特に夜の劣悪な環境から子供達を守り、安全・安心な場所で夜を過ごさせたいと言っていました。

この活動を通じて最近考えたことは、NPO法人の理念でもある「子供達の健全育成」を推進するために2つの側面、すなわち① 子供自身の成長を助けること。② 子供を取巻く環境の整備、改善を進めることが必要ですが、従来の支援に留まっていては実現性が薄いのではないかと思うようになりました。我々にも出来る何か別の事業はないかと思案してきました。従来の支援は継続しながら、社会問題の解決に幅広く取り組むためにインドで新たな事業を行うことを決めました。それはモリンガの木の栽培による社会事業です。

AAWCのスタッフ